抜根の記録

抜根の記録

4月9日に大きなアカマツを伐採しましたが、昨日11月10日は残していた切り株の周りをショベルカーを使って掘り起こし、根ごと抜く作業をいたしたしました。



地面に顔を見せていた切り株の部分は、周囲の長さをはかると3メートルほどでしたが、伐根の作業が始まると、見えなかった部分は山の裾野のように広がり業者さんも驚くほど根が張っていました。(根っこの太さがそれなりの木の幹と同じくらいありました)

張っている根の先端まで全てを取りきることは出来ないので、途中途中職人さんがのこぎりで根を落としながら穴を掘り進めていくのですが、深いところは2メートルほど掘ったと思います。

朝から始まった作業ですが、掘っても掘っても、びくともしない時間が長く続き、ようやく15時くらいから、揺らすと動き始め、しかしながら、もう少しで抜けるのではないか?と思ったところから、数時間抜くことは出来ず、別の現場が終わった職人さんにも応援に来ていただき、最終的に根が抜けた頃にはライトで照らさなくてはいけないくらい辺りは暗くなっていました。

作業時間は7時間半ほどでした。

一日を通して作業を見させていただきましたが、ショベルカーでガンガン揺らされてもなかなか抜けない根っこを長時間見ていると、

「まだまだここに居たいよ」

と言っているようにも見えて、個人的には伐採の時以上に切ない気持ちになりました。

現場監督さんが、「これだけ立派な根っこを持っていたんだから、虫が入らなければあと100年は生きましたね」とおっしゃっていましたが、

逆に言うと、これだけ立派な根っこを持っていても、目にも見えないような小さなものに一瞬で命を奪われてしまうのだな…と、コロナの年に枯れてしまったこともあり、色々と考えることがありました。


11月11日。

昨日抜いた根をクレーン車でトラックに積み込み処分場へ、そして掘った穴に土を戻す作業を行いました。
戻した土には腐葉土を混ぜ、次の植樹に向けての準備をしました。

よく晴れた朝。

土を沢山かぶった切り株と幹の部分を少しほうきできれいにし、旅立ちの準備をしました。

長昌寺は、本堂に向かって左側には大きな松が、右側には大きな紅葉がシンボルとして植わっていて、長年お寺を見守ってくれていましたが、この2本の木は、おそらく本堂の両脇に同時に植えられたのではないかと考えられています。

長年連れ添った、相棒や夫婦のような存在と言っても過言ではないので、隣りにいる松が枯れてしまいいなくなってしまったことは、紅葉にとっても寂しいことだろうなと思っていました。(ちなみに、紅葉の方がだいぶ弱ってきていたので、紅葉の心配ばかりしていたら松の方が先に枯れてしまいました。)

今朝、松の根っこがクレーンで持ち上げられ、トラックに積まれた時。

最後のお別れのこの瞬間には、紅葉が大きな手を広げて、「さようなら」とその存在を抱きしめているかのようでした。



伐採をした時もそうでしたが、天気のいい日は余計に切なくなります。

私たちも、最後に根っこに触れ、感謝の思いを伝えて、トラックが見えなくなるまで見届けました。(ちなみに、土はついた状態ですが、根っこの重さは1.1トンでした。)


この松プロジェクトが始まってから、どのように進めたら、この松の命を最大限に尊重し、感謝と供養の気持ちを未来に繋げることができるのかを考える毎日でしたが、

今日、根の部分が運ばれていき、今後は未来に向けて進んでいくための時間となっていきます。

しかし、切り株もなくなり、平らになってしまった土の下には、この松の根っこが残っています。

根っこはいつかは枯れて土に還っていくのだと思いますが、姿形はなくなってしまっても、その命が立派に生きたことは、きっと未来につながっていくのだと思います。


………

今日は、2月の植樹に向け、幹の見学の連絡を入れました。

御札や御守のデザインについてもほぼ完成に近づきました。
境内からいなくなってしまった松ではありますが、皆さまのお手元に届けるために京都にて準備をしております。

来週には、大阪の工場へ御札を作成しているところを見学に伺います。

少しずつ進んでいたプロジェクトもいよいよ加速してまいりました。

プロジェクトにご参加いただいた皆さま、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。


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長昌寺 松プロジェクト途中経過
11月11日現在、362名の方にご賛同いただきご寄付をお預かりいたしました。
皆さまのお気持ちに感謝いたします。